くろじいの小屋
COLUMN


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20  ふと思う           2004. 9.13
 
 先日散歩をしている最中、遠足帰りの女の子とすれ違った。
小さな水筒を首から下げている少女、たぶん小学校1年か2年生。
すれ違う直前に「足が変なの?」と俺の顔を見て不思議そうに言った。
「そうだよ」と答えると、彼女はニッコリ笑って去って行った。
 
小さな子供は素直である、それを残酷と感じる人も居るだろう。
俺は何処かの脱走兵ではないので、芝居でヨタヨタ歩いてる訳じゃ無い。
彼女の言う通り「足が変なの」である。
 
ある日、車を運転している時の事だ。
車高を落とし、カーステレオをドコドコ響かせたミニバンが
ウインカーも出さずに横から割り込んできた。
心の中で「あぶねーなーこのやろー」と思う。
「ろくな奴じゃねー」とブツブツ言いながらも、渋滞をしているので大人しく後ろを走った。
しばらくして対向車線で止まっている車があった。
どうやらパンクをしてしまったようだ、脇には老婦人が呆然として立っている。
前の俺だったら即降りていったに違いない。
「行ってあげようかな?」
「でも片手じゃ何もしてあげられないしな?」
「JAF呼んであげようかな?」
・・・・・短い間にあれこれ考えた
 
その時ふと前を見ると、先のミニバンから3人の茶髪の男女が降りたところだった。
彼らは道を渡り故障車の所に駆け寄ると、トランクを開けスペアタイヤを出し始めた・・・・・渋滞の列が流れ出したのでその先は見ていない。
 
迷っていた自分が恥ずかしくなった、見て見ぬ振りをしてしまった事が情けなくなった。
いや「ろくな奴じゃねー」と彼らに呟いた自分が恥ずかしくなったんだとも思う。
「そう言った俺がろくな奴じゃね〜」って
 
遠足帰りの少女、もし親と一緒だったらどうだろう?
「そんな事言っちゃいけませんよ」とお母さんは言うだろうか?
言葉を変えれば「見て見ぬ振りをしなさい」と子供に教えてると同じではないか?
 
「お前の母ちゃんでぇーべーそー」
「そういうお前もでぇーべーそー」
言った事は全て自分に返って来る
でもそれは育つ課程で自然と身に付く物だ
 
あの頃の素直な気持ち、それを無くさないでいるのは難しい。


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