くろじいの小屋
COLUMN


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52  姥捨て山           2004. 1.11
 新年早々「姥捨て山」とは何とも?な題名のコラムスタートだ。
しかしテレビをつけると正月から嫌と言う程、保険のコマーシャルである。
「手頃でがっちり」「安心終身」「これからだ」・・・色々なキャッチフレーズに加え葬儀費用まで出してくれる事を強調してる。ありがたやありがたや???
そのうち「もうすぐだ!」「早く逝け!」「本人に知られず加入できる葬儀保険」「今年中に死なない場合家族にお見舞い金!」って内容の保険が出るんじゃないかと密かに思ってる。「ピンピンコロリで逝かなかった時保険」なんてのも出るかもしれない。
 
綾小路きみまろのフレーズの中に「早く逝ってほしぃ〜のです!」
「(病院から火葬場へ)直行して欲しぃ〜のです!」と言うのがある。
実際あれは本音の話なのだ。病院では時々そんな場面に立ち会った。
現代も姥捨て山は姿を変えて存在する、我が家だけは違うと錯覚しながら・・・・・
実はみんな捨て場所を探しているのだ。
 
 家の祖母は4年前から特別養護老人ホームに入っている。それまでの数年間、少し離れて一人で暮らしていた。週に1〜2回は母が行くのだけど、直接会って話しても電話で話してもまったく正常。とてもボケているとは感じなかった。
ある日の事、急用があって祖母に電車で来て欲しい言うと、いくら待っても来ないで大騒ぎになった。本人曰く「途中で何処に行くかわからなくて引き返した」と言う。
おかしいと思ったのはその時からだった。
丁度父親が亡くなったりと祖母まで手が回らなかった事もあり、また母の実母であるためか、娘である母は祖母に対してキツく当たる。
今思えばキツく当たっても惚けていたのだから仕方ない、結局母が引き取って来たのだが、それからが大騒ぎ。仏壇のお供え物は全て食べつくし、冷凍庫の中の生ものまで凍ったまま食べる始末。でも本人は決して食べていないと言い張る。弟はビデオカメラを設置。可哀想だとは思ったが朝食を食べた後、キッチンに辛し入りトーストと酢入りコーヒーを置いて実験してみた。これを食べたら本物だ!って事で・・・結果予想通りだった。
 
何とか一緒に住めれば良いのだが、包丁やナイフを隠したり、ドアの内側からノブを針金でグルグル巻きにしたり、ガス台の火は着けたまま・・・24時間見てる訳にはいかない。これは無理、こちらが参ってしまうと判断。ホーム探しが始まった。これがなかなか大変。毎月多額の費用を払える人は良いが・・・必死に探し半年がかりでやっとみつかった。
最初はホームに入れる事に若干の抵抗もあった、しかしホームの人達に優しくされ、3食御飯を食べさせてもらい入浴までさせてくれる、祖母も母親に叱られない分その方が幸せである。
久しぶりに会いに行くと時間の観念が乏しいせいか、全ての物事を昨日の様に話す。今朝のおかずは覚えていないが、10年前の事は良く覚えてる。帰るとき泣かれるのは辛いけど、次の日には昨日会ったのか先月会ったのか覚えていないんだろうな〜
 
 先日M病院のリハ室に顔をだしたら「介護保険の見直し」についての情報を教えてくれた。要支援・要介護1というのを無くし、現在40歳からの介護保険加入を、20歳まで引き下げるという物だった。これによって2002年度に1兆9千億円かかってる介護費用の2割が圧縮出来るそうだ。
切り捨て!切り捨て!・・・・・税金払えなくなったら早く死ねって事か?
 
惚け無いと言いきれる人は居ないだろう。相当な財産と恵まれた優しい家族でも居ない限り・・・アリコの保険教室でも真剣に聞いた方が良いかもしれない。
そのうち棺桶の材質や焼き具合、骨壺の選び方まで指導してくれるかもしれないよ。


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